いちょうの周りで

everyday life , walking and low mountaineering

検事の本懐

作家(柚月裕子)の名前は目にしていたものの読するのは初めて。本書は2012年に文庫として刊行されていて、なぜもっと早くに読まなかったかと悔やまれる。検事「佐方貞人」(さかたさだと)を知ったことは、青江又八郎や藤枝梅安を知った時と同じ感覚。警察ものの独特の表現でも読みやすく、人間の本性を描きながら清々しい読後感がある。それは、解説の大沢在昌のいう「不公平なことに対する怒り」に芯があり、ブレないことにあるように思う。作者は山形県在住、山形県は素晴らしい作家が多い。2020年の大きな収穫。いまさらながら新しいヒーロー誕生。

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